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メモ

石川直樹 For Everest
この登山日誌が面白いです、単独で山に入るというのとはまた違ったものを感じさせてくれます。

 ナムチェの路上では、相変わらず「チベタン・インカーネーション」が流れている。オムマニペメフムが繰り返される、あの曲である。「Incarnation」という単語を適切に訳すのは、難しい。辞書によれば、「特定の身体状の形式で過ぎていく時間」という意味があって、この曲の場合、それが一番合っているかもしれない。

 自分の魂が人間という形式のなかで生きているのは今だけのことで、死んだ後は、魂が虫や動物に転生するかもしれないし、再び人間に宿るかもしれない。

 こうしたチベット仏教の輪廻転生の思想は、ブータンで何度も何度も教わった。オムマニペメフムが繰り返されるこの曲を聴くと、それを思い出す。

「Incarnation」、覚えておこう。周りはイヤなことばっかり、そいつがやってる事に「汚い」「エグい」と感じてるのも「特定の身体状の形式で過ぎていく時間」にいるからこそやと、少しは気分が楽になる。